グローバルな部品調達基準として認められるJIS Q 9100を取得
鉄のまち室蘭で68年の歴史。高度な技術力を活かし、
航空宇宙防衛産業に特化したJIS Q 9100を取得
永澤機械は1956年の創業以来、技術力を磨き、工場を増設して成長を続けてきました。2020年には「地域未来牽引(ちいきみらいけんいん)企業」に選定されました。
当社の強みは社員の8割が有資格者の多能工集団であることです。当社はいわゆるメーカーではなく賃加工を生業としており、同業者に対し優位性を保つのは資格保有に裏付けされた技術力だと考えています。そのため、資格取得に関する指導や費用について色々な面でサポートをしています。また、資格取得後は技術手当て等も支給されます。
当社では切削、研削、組立仕上げまで一貫生産しています。主な加工品は製鋼・製鐵に関する産業機械部品が40%・自動車部品の金型製作等が40%・材料試験片製作が15%・その他5%が航空・宇宙・防衛に関する部品製作です。
当社は航空宇宙防衛産業に特化したJIS Q 9100を、道内企業として3番目に2022年3月に取得。リージョナルジェット機用降着装置部品の製作・納品を開始しました。
当初は客先認証(OEM認証)で製作をスタート。その後、国産リージョナルジェットは生産計画が中止となり部品の供給も中止となりましたが、JIS Q 9100の取得により企業評価も上がり、航空機部品の他にも多方面より問い合わせが増えています。航空機関係部品の製作は現状、部品評価(トライアル)対象品を多く手掛けており、将来的には航空機部品の製作が増えることになります。
左:自社製作特殊工具、右:航空機ネジ用試作加工品
地域ぐるみで先端技術に取り組む
「MAS-NET」とは?
室蘭市は港によって栄え、明治時代より製鉄業を柱に発展してきました。現在も、ものづくりを通した地域発展への取り組みが続いています。その一つが、「MAS-NET 室蘭航空宇宙産業ネットワーク」。航空機関連部品の納入実績を持つ室蘭地域の企業が受注拡大を目指してタッグを組む企業連合です。
2020年3月の発足当時、室蘭地域での新産業の創出は必須となっていました。元々、室蘭地域には市内の大手製鋼・製鐵メーカーに育てられた高い技術力を持った企業が多数存在しています。その技術力と、経済産業省による施策(航空機産業の拡大)を、行政(室蘭市)を介してマッチングしました。高い技術力はもとより航空機産業への参入意識が特に強い企業を5社選出し、ネットワークを形成しました。
航空機産業と宇宙産業への参入を掲げ、企業間での相互交流を活発に行い、地域代表として国内展示会への出展等で道内及び道外に広く存在をアピールし受注に繋げる事を目的としました。現状、国内最大の航空宇宙展にも出展し、各地の先進企業及びクラスターとの交流・面談により新たな受注も広がっています。特に宇宙産業からの問い合わせが多く将来的にも拡大が期待されます。
現在、5企業が参画し、連携して受注体制の構築や事業環境の整備、連携営業力の強化に取り組んでいます。また、道内外の視察や展示会出展などを通して、技術力の高さをアピールしています。
当社はMAS-NETの初期立ち上げメンバーとして参画。JIS Q 9100認証を取得し、北海道の中小企業で初の民間航空機向け部品供給を実現しています。これからも行政と連動しながら室蘭市及び北海道のリーダーとしての自覚を持って活発に展開をしていきます。

航空機部品を受注する高度な加工技術。施工に必要な製作特殊工具も自社製作する
ものづくりに取り組む子どもを育む「てついく」と
将来を担う人材への思い
室蘭市は人口の減少に伴い鉄鋼業に従事する人の割合も減少しており、伝統の「鉄の街」としての色合いも薄くなってきています。昔は稼業や家族によって必然的に触れ合いがありましたが、子どもたちが「鉄」に触れる機会も少なくなっています。この現象を少しでも改善するために、幼少の時から「鉄」と触れ合う事を目的とし「てついく」を発足しました。20を超える企業・団体と、室蘭工業大学や北海道立室蘭高等技術専門学院などが協力し、ものづくり体験イベントや企業見学、イベントなどを行っています。
永澤機械も「てついく企業」に名を連ねて工場見学などを受け入れ、鉄工品の話をしたり実際に触れてもらい、「鉄」を身近に感じてもらえるように努めています。小学生たちは、鉄は硬くて加工は出来ないと思っているようですが、実際に鉄をノコで割ったり円筒状や四角に機械加工をするのを見て驚いています。
現在、この地域は人口減少も続き産業構造自体が変革の時期に来ていると思います。就業人口の増加は皆無だと思います。そのような中でIT・IOT・DX等を活用して現状維持を図りますが、やはり最終的には「人」となるでしょう。この「人」を上手く育てる事が必須だと思います。性差別の緩和、外国人労働者の雇用等を含めチャレンジが必要でしょう。
技術系だとスペシャリスト、または多能工の育成が重要で実行しなければならないと思います。これからの人材に期待することは、あまり周りを気にせず(影響されず)、もっと個性を考えて欲しいと思います。
工場見学などを通して、子どもたちにものづくりの楽しさを伝える
- 株式会社永澤機械
- 代表取締役 永澤 優
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〒050-0083
室蘭市東町3丁目1-4
TEL:0143-44-2888
URL:
https://nagasawa-kikai.co.jp/